仲良し夫婦研究家のAKI(夫)です。

樹木希林さんの本「一切なりゆき」の中にこのような話があります。

「私、世の中のご夫婦を見て、ちっとも羨ましいと思ったことはないんですが、この話だけは別なんです。原泉さんて女優さん、ご主人は作家の中野重治さんで、私一度、夜お邪魔したことがあるんです。
 ちょうど夏で、部屋に蚊取り線香がたいてあって、中野さんはランプの灯った机に向かって何か書いていらっしゃる。その白いきものの後ろ姿に向かって原さんが、「あなた、ただいま」って声をおかけになった。
 それから、その日は私がいたからかもしれませんけど、いつもはその背中を貸してもらうんですって。後ろから寄り添って、その日あったいろんなことを、あったかい背中に聞いてもらうんですって。いい話だと思って、私もできればそういう背中が欲しいと、時々思いましたよ。私も年をとって、そういう色っぽいエピソードのひとつやふたつ欲しいと思いますけどね(笑)
 だからみなさん、”ボケ”ないうちに、異性と楽しい時間をもつことをお勧めします。」

この話に出てくるご主人(作家の中野重治さん)は、奥さん(女優の原泉さん)の話を背中越しにちゃんと聞いていたと思いますか?

私は、聞いていたと思います。人は面と向かって話をした時に、相手が上の空で話を聞いていないと分かるように、背中越しに話をした時にも相手が聞いているかどうか分かると思います。もし、話を聞いていないと分かったら、話をしようとは思わないと思います。「あったかい背中」という言葉が出てくるのが何よりの証拠です。

我が家は、毎日、夕飯時に話をしますが、このような背中で聞くというのもあるんですね。なんかいいですよね。

by AKI